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自転車。パーツ。カオス

Natch.または ‘Natch.「あたりまえ」って意味だ。

僕はアダムだけど、Surly が使ってる鋼鉄についてちょっと書いてくれって頼まれた。書き始めるにあたって、やっかいな仕事をする時はいつもそうだけど、まずちょっと調べものをした。で、今まで言ったことをいろいろ当たってみて、Surly の Natch チューブについて説明したことに何か加えたり、もうちょっと突っ込んだりできるかなと思ってみた。

2014 年のカタログ [タイラーと一緒に書いたんだ] には、重要な情報が詳しく書かれている。我ながらいい仕事をした。紹介しているモデルの中には、悲しいかな生産中止になったものもある。でもメッセージは伝わるはずだ。

ちょっとさわりを引用してみようか。

「長年、かなり多くの人に『なんで Surly は一流ブランド品の代わりに、無印の在庫品チューブを使うの?』と聞かれてきた。なぜならブランド品のチューブは在庫品だからだ。」

「Surly はそういうチューブのメーカーやサプライヤーと長く、実り多い関係を結んでいる。こういう関係があるから、Surly は発売する各フレームに合った、正しいチュービングを開発し続けられるんだ。チュービングの開発は各モデルに応じるだけじゃなくて、同じモデル内でもフレームサイズに応じて行ってる。Surly のニーズにあったチュービングが手に入る場合もあるし、ない場合もある。」

「とは言え、フレームはチュービングだけでは決まらない。俺たちはフレームそれぞれを組み上げるのにベストな方法を、サプライヤーと一緒に考えている。例えば溶接の工程や、最高の溶接棒の選定、チューブの留め継ぎや溶接用の冶具とかだ。」

「チューブの設計から溶接棒のメーカー、温度管理や仕上げまで、こういった細かいことにいちいち注意を払って、俺たちは単なる自転車じゃない、Surly の自転車、つまりそれぞれの本来の持ち味を発揮し生き生きしたパフォーマンスを提供する丈夫な自転車を創る、そんな重要なステップに対処してるんだ。」

「知っておいて欲しいのは、ボトムブラケットの横に Surly の Natch デカールがあるからといって、それで君がごまかされているわけじゃない、ってことだ。実際、俺たちは在庫品チューブがもたらす性能を遥かに超えて、特定のチュービングを特定のモデルの特定のサイズのニーズに合わせて選んでるんだぜ。ちょっと知りたいんじゃないかなと思ったんだ。」

要するに、言いたいことは、「Natch はただの 4130 クロモリなのか?」という疑問だ。そう。まぁね。技術的なことを言うと、Surly は SCM430、つまりアジア版の 4130 を使ってる。Surly は自信を持って台湾で生産してるからだけど。

知らない人もいるだろうけど、高級自転車の多くは台湾で作られている。台湾には、中品質や高品質の少量生産が得意なメーカーが多いんだ。だから、丈夫な自転車をお得な値段で作るには、ここがぴったりなんだ。もっと言うと、台湾にはまともな労働法があって、環境規制もばっちりだ。台湾に拠点を置く自転車産業のほとんどがそうだけど、組み立てをここに集約して、国際的に商品を展開する拠点にもなってるんだ。

でもそれだけじゃないよ。接合処理中に、チューブをどれだけ厚く、あるいは薄くできるか、それから接合自体をどれだけ長く、または短くできるか、それから厚さから薄さへの移行の長さをどうするか、それらすべてについて、「Natch」が Surly の方針だ。Natch には溶接処理も含まれている。チューブをつなぎとめて、どうやって固定して溶接するのか、そのやり方が大事なんだ。Natch は乗り心地でもある。乗り心地は重要だ。自転車は、ペダルを踏み込んだ時や、向きを変えるのに傾けた時に、しっかりと反応する強さがなきゃ駄目だ。また一日中乗っても、毎週、毎月乗っても、もっと乗り続けてもクタクタにさせない乗り心地の良さも大切だ。 

自転車のデザインを始める場合、各サイズを個別に検討して、そのモデルの用途に合った、各サイズの自転車に正しいチューブを使うことを確かめている。各サイズに合わせて意図的に乗り心地の特性を作り込んでいるんだ。クロモリ鋼を使うと必要な柔軟性が得られる。

Surly の方針として、自転車は乗るのが苦痛になるほど重くてはいけないとも考えている。鋼鉄を接合すれば、いろんな事のバランスを考えた上で、納得の重さの自転車を作ることができるんだ。それに、いい自転車とは価格が手ごろでないと駄目だ。クロモリ鋼を使うとコストを抑えることができる。

Surly は常に丈夫で多用途のバイクを作ろうとしている。フレームやフォークも長く使えるように設計している。Karate Monkey でツーリングに出るのもいいし、Straggler でダートを走るのもいい。使い勝手のいいバイクはどんな状況にも対応できるはずだ。Surly の自転車はちょっとばかり使い方を間違えたとしても、大丈夫、Natch がしっかり受け止めてくれる。以前は「Derby Rated」と呼んでた。自転車の山の上に積み重ねてくれ。山奥でトラックの荷台に放り込んでくれればいい。それで充分だ。クロモリ鋼は丈夫だから。

全然大丈夫。Surly バイクは 4130* チューブで作られている。言うまでもない。

詳細な記事や資料:

Surly 2014 カタログ

「Steel That Sleeps the Eye」 Baroness

41xx スチールの情報