Surly Bike の調整
サイクリングの最も論争が激しくややこしい側面の一つは自転車のフィットとサイズ合わせだ。俺ら Surly には、山ほどのメールや電話がかかってきて、みんなおんなじことを知りたがってるんだ。「どのサイズに乗るべきなの?」ってね。
ここでひとつはっきりさせよう。バイクのサイズを測るのは大変だ。この世界の人々はすべて、それぞれに異なった体形をしている。胴長で腕ががっしり太く、脚はヒョロヒョロの男もいる。ずんぐり丸々としていて、両腕の拳が地面につくような人もいる。でっかいアンドレ・ザ・ジャイアントみたいなタイプの人がいれば、普通の人もいる (普通が何かは、まあ置いといて)。たったひとつのバイクとかバイクモデル、バイクブランドがすべての人にぴったり合うなんてことは、あり得ない (完全にカスタマイズした場合を除いて。Surly のバイクは完全にカスタマイズするタイプじゃない)。でも、それに近いところまで持っていくことはできる。
自転車屋に行く
俺たちが、ぴったりの Surly バイクを求めている人たちにいつも勧める最初のことはお気に入りの自転車屋に相談すること。素晴らしいカスタマーサービスがある良い店は、君に合ったロードバイクであれ、ツーリングバイク、シングルスピードマウンテンバイクであれ、何でも君がほしいものを探すのを、喜んで手伝ってくれるだろう。
彼らはそれぞれにユニークな手法を持ってる。もし自転車屋がバイクにまたがることを勧めてきて、そのバイクが君にぴったりだと宣言し、それを買うべきだと主張するなら、この自転車屋はできることすべてをやったとは言えない。サドル高やステムのリーチ、フレームの角度、フォークレイクをミリ単位で調整して科学的に君のフィット感を追求してくれる自転車屋は、どんどん増えてきてる。ほとんどの自転車屋が採用している手法は、科学と勘の中間くらいのものだ。「適切なフィット感」にはいろんな説がある。それぞれが結局は似たような結果を導き出すもんだが、たったひとつの絶対的な答えなどは存在しない。
そういうサービスを受けると、ほとんどの店でサービス料を請求されるだろう。それは悪いことじゃない。君のサイズを測るのには代金がかかるけど、新しいバイクをそこで買うことに決めたらサイズ測定の代金 (またはその一部) を割引してくれる店もある。店でそういう割引をしてくれなかったとしても、新しいバイクを買う時のために、そういう数字をいくつか知っておくのはすごくいいことだ。お金を払うだけの価値はあるよ。
パーフェクトな世界だったら、バイクショップで Surly の試し乗りができる。残念なことに、この業界では Surly はまだちっぽけな存在だ。だから店で Surly のバイクを試し乗りできる可能性は低い。ほとんどの Surly バイクは特注だから、試乗用のバイクというものはない。でも、がっかりことはない。ハッピーな Surly ライダーたちは、フレームセットを注文するときにバイクショップの助けを借りてるし、その結果にメチャクチャ満足してる。
じゃあ、どうやって合ったサイズを買えるの?
実際のトップチューブの長さが鍵だ。
自分にぴったりの自転車を持っているなら、実際のトップチューブの長さを測ってみよう。この数字がわかれば、別のメーカー製のフレームや、異なる目的のために作られた自転車と比較することができる。ヘッドチューブの中間点(トップチューブと結合するところ)から、シートポストの中央に向かって水平に後ろ側を測ればこの長さがわかる(図を参照)。
多くのフレームはトップチューブに向かって僅かな (あるいは目立つ) 傾きがあるから、違うバイクを比べるために測るには実際のトップチューブの長さが俺らの狙うところだ。フレームを適切な長さにすることで、シートチューブの長さや「フレームサイズ」よりも、定義することが難しい完璧なフィット感にぐっと近づける。
フレームサイズだけじゃなくて、ウェブサイトのバイクごとのジオメトリ表と今乗っている自転車を比べてほしい。
スタンドオーバーハイト
フレーム長のぴったりした数値が分かったら、しっかりまたがって確認してみたくなるだろうな ( フィットしてなきゃ大変だから)。それでジオメトリチャートをもう一回眺めて、上で説明した、君にぴったりフィットするフレームサイズを見つけてくれ。じゃあ今度は、スタンドオーバーハイト (または S.O.)を見てくれ。この値はトップチューブから地面までの高さを示している (リストにあるタイヤサイズを想定)。この高さはシートチューブとヘッドチューブの間のトップチューブの中間点で測定している。というのはフレームに立った場合、結局はそこに体が落ち着くからだ。
スタンドオーバーハイトが十分かどうかを確認するときは、君の実際の股下丈を測ってみて。これは股のあたりに本を詰めて、本 (恥骨に対して押し上げて) の背から地面までを計測する (靴下をはいた足で)。パンツの股下丈は不正確だから使わないでくれ。
もし股下丈の計測がフレームのスタンドオーバーを少し明確にしたら(そうだな、ロードバイクで少なくとも2~3cm、マウンテンバイクだともうちょっと長め)大丈夫なはずだ。
ほら、かなりフィットするフレームが手に入ったね。
でも、もし自分にあった自転車を持ってなかったら?
今のところ自分に合う自転車を持っていないと言うなら、もう一度 2、3 個上の段落を読み、近くの自転車屋に行くことをお勧めする。自転車屋の一番大切な目標は、お客さんにぴったりフィットする自転車を見つけることだ。彼らは魔法を使う。または、フィットさせるための道具や、独自で設計したシステム、Serotta FitCycle などを使う。さもなければ、ベティおばさんの目視チェックだ。どういう方法であれ、この世界にしばらくいるプロフェッショナルなら、やるべきことは分かっているはずだ。
どのサイズの Surly フレームが君にぴったりかなんて、たとえ大量の測定データがそろっていたとしても、断言するのはとても難しい。条件は人それぞれに違うからね。君の身長が 5'10” だったとしても、どのフレームが君にぴったりフィットするのかをそれだけで決めるのは難しい。例えば君の身長が 5'10” だとしても、足が異常に長いということも考えられるじゃないか。君自身がバイクショップに行ってぴったり合うサイズを見つけるのが最高の方法なんだよ。しかも、たった今俺たちが話した同じ数値を俺たちは求め見ようとするだろう。
「フレームサイズ」
フレームサイズとは、一般的にはフレームの高さのことで、つまりボトムブラケット(クランクのベアリング)からトップチューブまでのシートチューブの長さのことだよ。これには問題がある。どんな問題かというと、これではバイクがフィットするかどうかはよくわからないということだ。
ずっと昔、自転車はほとんどみんな同じ形だった。もうそうじゃない。それに、フレームの測定方法はまちまちだ。ある会社はボトムブラケットの中心からトップチューブの中心、あるいはシートチューブの接点 (C-C としても知られてる) まで測定する。これは測るには結構いい方法だけど、チューブの直径の違いを実際考慮してない。つまり、アルミのチューブは直径が大きい傾向があるから、スチールの 54cm 自転車はアルミの 54cm の自転車よりも短くなるんだ。
他のフレームメーカーはボトムブラケットの中心からシートチューブのトップ、つまり実際にシートポストを入れるところまでを測定する(これを C-Tと呼ぶ) 。これは俺たちを困惑させる。なぜならもし 2 つのフレームが全く同じ形状とチューブの長さを持ってて、でも 1 つはトップチューブの上に素材が突き出てると、そのフレームはたとえ「小さめ」の親友と同じように乗っても「大きめ」になるだろう。おかしいよね。
俺たちはフレームをボトムブラケットの中心からシートチューブのトップ、あるいはトップチューブの接合上までを測る。(おっと、これも
C-T と呼ぶ)までを測る。これで少なくともフレームがどれくらいの大きさに感じられるかのあるちょっとした見解が得られる。でも、全体像は到底つかめない。
どの方法も完璧ではないけれど、3 つとも良く使われているんだ。だから買い物をするときには、ズバリ何が測定されているのかを正確に認識するようにしよう。
個人的好み
さらにややこしくなってくるが、どんな風に乗りたいかによってもサイズの選択は変わってくる。もしオフロードをガッツリ走りたいなら、より低いハンドルバーで見下ろす姿勢のより攻撃的なポジションが必要になる。ツーリングになら、もう少し直立した姿勢で、性能より快適さを優先したいだろうし。通勤通学に使うなら、どちらも欲しいと思うかもね。俺たちと同じような年齢なら、ちょっと直立した姿勢の方が、背中にはいいだろうな。
また、どんなコンポーネントを使う予定なのかな?セットアップ、それともフラットバー固定?ドロップバーロードバイクを持つ予定なのかな?シートポストを多少セットバックさせたり、もう少しトゥークリアランスが必要なフェンダーを付ける予定はあるかい?
ここでのポイントは、フレームサイズや脚の長さと高さ、そしてその他全てのことを見つける際には、君がどのように乗り自転車で何をしたいかが、君の買い物に考慮されるものだってこと。口癖: 自転車の買い物はいい。
これは、ひとつの実例の説明:アンディーは 20" 1x1 に乗る。デイブは 18" 1x1 に乗る。両者とも、スタンドオーバーハイトや実際のトップチューブに基づいて、互いの自転車に乗ることもできるかもしれない。でも、ふたりとも自分が選んだサイズの感じの方が好きだ。
フィットの偏心
バイクフレームには多くの機能があるので、他のフェンダーとは違ったフィットになる場合がある。これについての良い例は、ボトムブラケット ドロップだ。フレームのジオメトリーに対するボトムブラケットの位置がサイズの調整に大きく影響するだろう。ツーリング バイクのボトムブラケット位置は、トラックバイクより低い。前者は快適さと安定性を実現し、後者は 44 度の傾斜でもペダルが地面にぶつからないように設計されている。どちらのバイクも (中心点で測定するとか) 同じ方法で測定するとする。例えば、2 つのバイクがどちらも 52cm フレームだけど、片方のバイクのボトムブラケットの方が高くて、フレームのトップチューブももう片方より高いとする。君が測定する位置は一定じゃない。それぞれのバイクによって違う。
この古典的な例として、シクロクロス バイクが挙げられる。Surly の Cross-checks (とほとんどのクロスバイク) は、オフロード用にロードバイクよりボトムブラケットの位置が高く設計されている。54cm Cross-check は 54cm Pacer (Surly のロードフレーム) より高いんだ。大体みんなはロード用バイクより小さいサイズのシクロクロス バイクに乗る。
結論として
サイズ選びに関する俺たちからのアドバイスは、今 17 インチのマウンテンバイクに乗ってるからといって、世界中の 17 インチマウンテンバイクが君に合う訳じゃないということ。もっと言うと、Surly のフレームのどれかひとつが、君の測定値を基に君にぴったり合うと約束できる訳でもない。人間の体はひとりひとりが違い過ぎる。普通は、ベストフィットに近いものを選ぶことになる。ステムの長さと角度、サドルの位置、クランクの長さ、その他いろんな要因が合わさって、君にフィットする自転車が決まる。
最後に言いたのは、バイクショップでアドバイスを受けることが大事だということ。店に行けば、彼らが手伝ってくれる。君にぴったりの自転車を探すときは、ライドを追求するために彼らの知識を利用しよう。バイクショップはそのために存在する。